最初の段落で止まる理由 — 導入を開く六つの場所
本文は進むのに、最初の段落だけで一時間かかる。それは文章力ではなく順番の問題です。導入を最後に書く方法、テーマを小さく取る方法、眺めているだけの読者にも中身が見えるようにする方法をまとめました。

記事をひとつ書くのに二時間かかったとしたら、そのうち一時間はたぶん最初の段落です。
本文は意外と進みます。言いたいことがあるからです。ところがカーソルをいちばん上に置いて一行目を書こうとすると、手が止まります。書いては消し、また書いては消し、結局「こんにちは、久しぶりの投稿です」で始めてしまう。
最初の段落が難しいのは、文章力の問題ではありません。書く順番の問題です。導入を開く六つの場所を、順番に並べてみます。

読む人が最初の段落で確かめることは、ひとつだけです
最初の段落で読者をつかまなければいけない、とよく言われます。それで印象的な一文を書こうとするのですが、読む人が実際にそこでしていることは、もっと単純です。
「これは自分が探していた記事なのか」を確かめているだけです。
検索から来た人には、すでに知りたいことがあります。その人に必要なのは、うまい文章ではなく確認です。だから、今日は何の話なのかを先に言うのが、いちばん速い導入になります。
- 「最近すっかり寒くなりましたね」 → 何の記事かわからない
- 「三千円台のワイヤレスキーボードを二週間使いました」 → すぐわかる
天気の話から始めてしまうのは、悪い癖というより、書くことが浮かばないうちに手が動いた結果です。書き終えてから消せば済みます。

後回しにしている記事は、ネタが足りないわけではありません
下書きに、タイトルだけの記事がいくつかあると思います。話したいことは確かにあったのに、書けなかったものです。
たいていは調べ足りないからではありません。「この程度で記事になるだろうか」と思って止まっているのです。もっと調べてから書こうと後回しにして、もっと調べたらまた調べることが増えます。
基準をひとつ決めておくと楽になります。いま知っている分だけ書き、わからないことはわからないと書くことです。
「ここまでは確認しました。この部分はまだ試せていません」と書かれた記事は、信頼を失いません。むしろ全部わかっているふりをした記事より、読む人は安心します。情報を全部そろえてから書こうとすると、その記事は永遠に出てきません。

最初の段落をあきらめると、記事が始まります
いちばん確実な方法をひとつ挙げるなら、導入を最後に書くことです。
考えてみれば当然です。導入はこの記事が何の話かを伝える場所なのに、まだ書いていないのだから、自分でも何の話かわかっていない。存在しないものを要約しようとしているから、手が止まるのです。
そこで順番を変えます。
- 言いたいことから書く(途中から書いてもかまいません)
- 書き終えたら、かたまりに分けて小見出しをつける
- そのあとで導入を書く
- タイトルはいちばん最後に決める
この順番なら、導入を書くのに五分もかかりません。すでにある記事を要約するだけだからです。

小さな記録ほど、かえってよく読まれます
書くことがないと感じるときは、たいていテーマを大きく取りすぎています。
大きなテーマには、すでによく整理された記事があります。「カフェのおすすめ」では前に出られません。ところが「○○駅の近くで、コンセントがあって長居しても気をつかわないカフェ」なら話は別です。探す人は少なくても、その人にとっては必要な記事です。
具体性は三つの場所から出てきます。
- 数字:「あまりかからなかった」ではなく「二十分かかった」
- 日付:いつのことかを書くと、情報に有効期限がつきます
- 失敗:うまくいった話より、うまくいかなかった話のほうが長く読まれます
今日あった小さなことの中に「これ、先に知っていればよかった」と思ったものがひとつでもあれば、それが記事のネタです。

人は読む前に、まず眺めます
丁寧に書いた記事でも、最初は上から下へ一度眺められます。眺めてから、読むかどうかを決めます。
だから、眺めている人にも中身が見えるようにしておく必要があります。むずかしくはありません。
- 小見出しだけ読んでも記事の骨組みが見えるように書く
- 一段落は三、四行で切る。画面で壁のように見えると飛ばされます
- ひとつの段落には、ひとつの話だけ入れる
- 大事な一文は段落の一行目に置く。最後に置くと見てもらえません
- 本当に大事な一文だけ太字にする。全部太字は、太字がないのと同じです
スタンプや画像がしている仕事も同じです。かわいいから置くのではなく、長い記事に休む場所をつくるためです。小見出しごとにひとつ置くと、スクロールがずいぶん軽くなります。

導入は短いほどいいです
最後に、導入は長く書く必要がありません。三文で足ります。
- 何の話なのか(今日あつかうこと)
- なぜ書くのか(自分が経験したこと)
- 読むと何が残るのか(持ち帰れるもの)
この三つがあれば、導入の役目は終わりです。ここに自己紹介と近況とお詫び(「久しぶりの投稿です」)を足すと、読む人は本題に着く前に離れていきます。
書き終えたら、最初の段落をもう一度読んでみてください。最初の二、三文を消しても記事が成り立つなら、それはもともと要らなかった文です。たいていは成り立ちます。
最初の段落は、うまく書くものではなく、あとで書くものです
まとめるとこうなります。
- 今日は何の話かを先に言う
- いま知っている分だけ書く
- 導入は最後に書く
- テーマは小さく具体的に取る
- 眺めている人にも見えるようにする
- 導入は三文で足りる
最初の段落で止まるのは、才能の問題ではありません。まだ書いていない記事を要約しようとしたからです。順番を変えるだけで、その一時間が五分になります。
この記事で使ったスタンプはピヨのブログ・カフェ書き込みリアクションシリーズです。「今日のお話」「とりあえず始めてみます」「ここから重要です」など、記事の節目ごとに置ける言葉で構成しました。小見出しの上にひとつずつ置くと、眺めている読者も流れを追えるようになります。