好きな気持ちが宿題にならないように — 推し活を長く続ける人のペース
推し活に疲れるのは、気持ちが冷めたからではなくペースが速すぎるからです。通知を減らす基準、お金と時間の上限、心が動いた瞬間の残し方、公式発表前の話との距離の取り方を順番にまとめました。

好きなものができると、一日が変わります。通勤中に聴く曲ができて、仕事のあとに観る動画ができて、週末に待つものができます。
ところが不思議なことに、好きなことが疲れに変わる瞬間がやってきます。見逃した情報がないか何度も確かめて、ほかの人ほど追えていない気がして焦って、ある日、好きで始めたことが宿題のように感じられる。
推し活に疲れるのは、気持ちが冷めたからではありません。たいていはペースが速すぎるからです。沼に落ちた瞬間から長く好きでいるまで、順番に整理してみました。

好きになるのに、理由はなくていい
誰かを、何かを好きになった瞬間を説明しようとすると、うまく言葉が出てきません。動画をひとつ観ただけ、曲をワンフレーズ聴いただけなのに、気づいたらもう好きになっている。
理由を言わなければいけないような圧力があります。まわりから「それのどこがいいの?」と訊かれると、なんだか言い訳をしている気分になったりもします。
でも、好きになるのに資格審査はありません。理由はあとからゆっくりわかることのほうが多いものです。一か月ほど経ってから「ああ、私はこの人がステージを終えたあとに笑う顔が好きだったんだ」と気づく、というふうに。
だから沼に落ちたばかりの時期にしておくといいことは、ひとつだけです。最初に好きになった場面を記録しておくこと。 リンクひとつ、スクショ一枚、一行のメモで十分です。これが、あとで疲れたときに戻ってくる場所になります。

供給を全部追いかけると、必ず疲れます
好きになり始めると、情報が押し寄せてきます。公式チャンネル、ファンアカウント、コミュニティ、ショート動画、配信の通知。ひとつ観れば、関連するものが十個ついてきます。
最初はそれが楽しい。けれど通知を全部オンにしておくと、推しは一日中こちらを呼び続ける存在になります。仕事中も、食事中も、寝ようと横になってからも確かめてしまう。
情報を減らす基準をひとつ決めておくと楽になります。
- 通知は公式チャンネルだけオンにする。 それ以外は観たいときに自分から見に行く
- 確認する時間を決める。 昼休みと寝る前の二回で、ほとんど見逃さない
- リアルタイムでなくていいものはまとめて観る。 一週間分の動画を週末に観るのも推し活です
通知を減らすのと同じくらい効くのが、見る場所を分けることです。日常用と推し活用でアカウントを分けるか、せめてリストを分けておくと、推しの情報が仕事の連絡や友だちの近況のあいだに割り込んでこなくなります。見たいときにその場所に入って、出たらおしまい。好きなことに扉をひとつつけておくようなものです。
見逃しがあっても大丈夫です。本当に大事な知らせは、どうにかして耳に入ってきます。全部をリアルタイムで観る人だけが本物のファンというわけではありません。

「好き」の伝え方はいろいろあります
応援する気持ちは、表に出したくなるものです。そして、その方法は思っているより多様です。
コメントひとつ、動画を最後まで観ること、いいねを押すこと、まわりにすすめること、アルバムやグッズを買うこと、ライブに行くこと。この中でどれがより本物の応援か、という順位はありません。
問題は比べ始めたときです。誰かがアルバムを何枚買った、誰かがライブに何回行った、という話を聞いているうちに、自分の応援が小さく見えてくる。そうして無理をしてお金を使い、無理をした分だけ好きな気持ちに負担が混ざります。
だから、お金と時間にはあらかじめ上限を決めておくのが、好きな気持ちを守る方法になります。
- 一か月の推し活予算を決めて、超えた分は翌月に回す
- 「限定」という言葉を見てもすぐに決済せず、一日待つ
- 手元にあるもので楽しむ方法を先に探す
上限を超え始めたサインも知っておくといいです。
- 決済したあと、うれしさより「買えなかったらどうしようかと思った」という安心が先に来る
- 買ったものを開けもしないまま積んでいる
- 自分がどれだけ楽しかったかより、ほかの人がいくら使ったかが気になる
ひとつでも当てはまるなら、少しペースを落とすときです。上限を決めるのは、好きでいるのを控えるという意味ではありません。長く好きでいるという意味です。

心が動いた瞬間は、別の場所に集めておく
推し活をしていると、ひときわ大きく心が動く瞬間があります。新しいステージ、思いがけない一言、長く待っていた知らせ。
そういう瞬間は、思っているより早く薄れていきます。次の情報が絶えず入ってくるからです。そして疲れた日には「私、なんでこれが好きだったんだっけ」と思ってしまう。
そこで、心が動いた瞬間だけを集めておく場所をつくっておくといいです。写真アプリにアルバムをひとつ、メモアプリにファイルをひとつ。ルールは簡単です。
- 情報ではなく、自分の気持ちが大きく動いたものだけを入れる
- 日付と一行の感想を一緒に書く
- 月に一度くらい、最初から眺めてみる
この記録は、あとで意外と支えになります。供給の少ない時期にも、気持ちが少し冷めたような日にも、自分が何を好きだったのかをもう一度教えてくれるからです。

公式発表の前の話とは、距離を置く
推し活でいちばん消耗するのは、推しそのものではなく、確認されていない話であることが多いです。
誰かがこう言っていたらしい、もうすぐ何かが出るらしい、こんなことがあったらしい。こうした話はすぐに広まって、期待させたり、不安にさせたりします。そしてほとんどは事実ではないか、事実でも形が違っています。
基準はひとつで足ります。公式発表が出るまでは反応しない。
- 憶測の投稿にはコメントしない
- スクショだけが出回っている話は、出どころを確かめるまで信じない
- 不安になる話ばかり目に入るなら、その場所からしばらく離れる
待つのはもどかしいかもしれません。でも公式の知らせは、必ず公式のチャンネルから届きます。喜ぶのはそのときでも遅くありません。噂を信じてがっかりするより、少し遅れて知ってちゃんと喜ぶほうが、ずっと長く心に残ります。

長く好きでいるために、ペースを調整する
好きな気持ちには波があります。しばらく毎日追いかけていたかと思えば、ある時期には少し離れて、また新しい知らせで火がつく。
この波を自然なものとして受け入れると、推し活はずっと楽になります。しばらく追えていなかったからといって、ファンの資格がなくなるわけではありません。休んでまた戻ってくるのも、好きでいるやり方のひとつです。
長く続いている人には、だいたいこんな習慣があります。
- 通知と確認の時間を決めている
- お金と時間の上限を先に決めている
- 心が動いた瞬間を記録している
- 公式発表だけを信じている
- 好きな気持ちが落ち着く時期を責めない
好きなものがあるということは、毎日待つものがあるということです。その待つ時間が負担にならないように、ときどきペースを落としても大丈夫です。
この記事で使ったスタンプはピルの推し活日記シリーズです。沼落ち完了、供給発見、最高すぎる、私の心臓、公式発表、行ってみようまで、好きな気持ちが動く瞬間で構成しました。推し活の記録やライブの感想を書くとき、段落のあいだに置くと、そのときの気持ちがそのまま記事に残ります。