日記が三日で終わる理由 — 三行で十分です
年始に買った手帳は一月五日で止まります。怠けているからではなく、分量の設定を間違えているだけです。一日三行に減らす方法と、三日目を越える仕掛けをまとめました。

年始に買った手帳を開くと、たいてい一月五日あたりで止まっています。その先のページは新品のままです。
日記が続かないのは、怠けているからではありません。分量の設定を間違えているだけです。
初日は誰でも書けます

日記を始める日の気持ちは、だいたい似ています。新しいノートを開いて、最初のページに日付を書いて、その日にあったことを最初から最後まで書く。
朝に何を食べたか、誰に会ったか、その人が何と言って自分はどう答えたか。書いているうちに一ページはすぐ埋まります。書き終えると満足感があります。これなら続けられそうだ、と思えます。
問題は、その初日の分量が基準になってしまうことです。
二日目も一ページ書かなければいけない気がします。三日目もです。けれど人の一日は、毎日一ページ分ずつ起きてくれるわけではありません。何もない日もあるし、疲れすぎてペンを持つ気力もない日もあります。
そこでこう考えます。「今日は書くことがないから、明日まとめて書こう」と。
まとめて書かれた日記は、存在しません。
だから三行に減らしました

三行日記は、その名のとおり一日に三行だけ書く方法です。手のひらサイズの手帳が一冊あれば足ります。
三行は短いです。短いことが肝心なのです。
- 負担がありません。 三行なら机に向かう必要もありません。ベッドに寝転んだまま、電車の中で、エレベーターを待ちながら書けます
- 空白ができません。 何もない日でも三行は出てきます。「今日は何もなかった」も一行ですから
- 読み返せます。 一ページの日記は後で読み返しません。長すぎるからです。三行なら一か月分を五分で見渡せます
三行に慣れてくると、日によっては自然に五行、十行になります。それはその日に書きたいことが多かっただけで、それで構いません。ただし基準は三行のままにしておいてください。 基準が上がった瞬間、また止まります。
うまく書こうとすると書けません

日記が続かない二つ目の理由は、分量ではなく文章です。
日記を書いていると、なぜか文章を整えたくなります。誰も読まないはずなのに。ぎこちない表現を直し、前後が合わなければ消し、感情を正直に書きすぎた気がすると和らげる。
そうしているうちに、三行に二十分かかります。二十分かかる作業は毎日続きません。
日記は人に見せる文章ではありません。 誤字があってもいいし、文が終わらなくてもいいし、単語ひとつでも構いません。「疲れた」とだけ書かれた行も、後で見ればその日がどんな日だったか思い出せます。
もし誰かに見られるのが気になるなら、その心配自体を減らす方法があります。ロックのかかるメモアプリを使うか、いっそ他人には分からないくらい短く書くことです。「あのこと」「あの人」のように。自分は分かっていますから。
三日目、多くの人がここで止まります

記録を始めた人が最も多く止まるのが三日目です。
初日は勢いで書きます。二日目は昨日書いたから書きます。三日目に初めて「面倒だ」という感情が来ます。ここで一度飛ばすと、四日目ははるかに簡単に飛ばせます。
だから三日目を越える仕掛けが要ります。実際に効くものをいくつか挙げます。
- 既にある習慣にくっつける。 新しい習慣は単独では立ちません。歯磨きの直後、アラームをセットした直後など、毎日必ずやることの直後に置くと長持ちします
- 書く場所をひとつに固定する。 今日は手帳、明日はスマホのメモ、明後日はノートパソコンでは、それ自体が摩擦になります
- 時刻ではなく順番を決める。 「夜十一時に」は守れませんが、「横になってスマホを見る前に」は守れます
では何を書くのか

三行に何を入れるか決めておくと、ずっと速くなります。毎日「今日は何を書こう」と考えることが、すでにひと仕事なのです。
いちばん無難な構成はこれです。
- 事実を一行 — その日にあったことをひとつだけ。「昼にうどんを食べた」
- 気分を一行 — そのときどう感じたか。「思ったより普通だった」
- 明日を一行 — 短い予定や言いたいこと。「明日は定食にする」
この三行で一日が残ります。特別なことがなくて構いません。むしろ特別なことは書かなくても覚えています。忘れていくのは、うどんのようなものです。
気分の行を書くとき、ひとつコツがあります。「よかった」「いまいちだった」より、もう少し具体的な言葉を探してみてください。 よかったにもいろいろあります。すっきりしたのか、誇らしかったのか、ただ安心しただけなのか。言葉をもうひとつ選ぶのに三秒ほどかかりますが、後で読むときの差は大きいです。
抜けた日はそのままに

それでも抜ける日は来ます。体調を崩したり、帰りが遅くなったり、単に忘れたり。
ここで日記を終える人と続ける人が分かれます。違いは意志ではなく、空白への向き合い方です。
抜けた日を後から埋めようとすると、そこから日記が宿題になります。三日分をまとめて書くには記憶を絞り出さねばならず、絞り出した記録は面白くなく、面白くないことは続きません。
空白は空白のままにしてください。 その日はそういう日だったのです。翌日、何事もなかったように続ければいいだけです。
週に四回書く日記のほうが、完璧に書いて二月で止まった日記より優れています。
三か月後に見えてくるもの
三行ずつ三か月分を貯めると、およそ二百七十行になります。これを一気に読み返すと、一日単位では見えなかったものが見えてきます。
繰り返しが見えます。毎週ある曜日に気分が沈むとか、ある人に会った翌日は決まって疲れているとか。一日ずつ見れば偶然ですが、三か月分を並べるとパターンです。
そして、思ったより悪くない日が多かったことにも気づきます。人はつらい日をより長く覚えているものですが、記録はそうではないからです。
今日の三行から始めてみてください。読むのをここで止めてスマホのメモを開けば、三十秒で済みます。
この記事で使用したスタンプはラブリーベリー — 毎日の気分シリーズです。喜び・納得・照れ・驚き・疑問・涙の順に、日記を始めて三日目で止まり、また続けるまでの流れに合わせて配置しました。